企画展アーカイブ/ ARCHIVE

  • 久保元幸 × 杉野信也 展 / Motoyuki Kubo x Shin Sugino show
    「 ダブルプラチナ 」
    「 DOUBLE PLATINUM 」

    2022年7月2日 ~ 2022年7月31日
    2 JULY 2022 - 31 JULY 2022

    新型コロナウイルス感染拡大のため、会期半ばではありますが、7月24日(日)から
    久保元幸 x 杉野信也 展 を中断し、休廊させていただきます。
    We are sorry, but the gallery will be closed from Sunday 24 July
    by reason of the present epidemic of COVID-19.
    Thank you for your kind understanding and cooperation.



    久保元幸(プリンティング ディレクター)× 杉野信也(写真家)
    二人のコラボレーションで制作された唯一の未発表作品展
    Motoyuki Kubo (printing director) x Shin Sugino (photographer)
    The first public exhibition of the unique works in collaboration


    企画展「DOUBLE PLATINUM - VENEZIA」 Monochrome Gallery RAIN では、基本的に、現存の作家が撮影し、自らが古典技法 を用いて仕上げた作品を扱っている。 今回は、特別な二人展である。 杉野信也が撮影し、久保元幸がダブルプラチナという特殊な技法で仕上げた作品を展示する。 共に第一線で活躍する二人のコラボレーションから生まれた「DOUBLE PLATINUM - VENEZIA」は、必見である。 プリンティングディレクター 久保元幸 の名前を全幅の信頼と敬意を表して前面に出すことを強く望んだのは、杉野である。 Monochrome Gallery RAINも、黒子として扱われがちなプリンターの存在を明らかにすべきだと常々考えていた。 三者の思いがひとつとなって実現した特別な写真展「DOUBLE PLATINUM - VENEZIA」を楽しんでいただきたく思います。

    Monochrome Gallery RAIN 雨宮一夫

     

    二人展「DOUBLE PLATINUM - VENEZIA」 光がなければ、陰は存在しない。 陰がなければ、光は輝けない。 久保元幸さんとの出会いは、幸運でした。 今回の作品は、プリンターとしての高い技術と豊富な経験、英知を有する 久保元幸さんの存在なくしては、叶わなかったと思います。 この展覧会を二人展の形にしましたのは、二人で作り上げた作品だからです。

    杉野信也

      杉野さんとの神秘的邂逅 1975年、当時私が購読していたタイムライフ写真年鑑の新人賞を受賞した写真家 Shin Suginoの1枚の写真に目が釘付けになった。 こちらを見つめる一頭の犬の写真 何か物悲しいようでいて強い意志を感じさせる視線。 その眼力は犬であって犬ではない。その印象は以後長く強く私の心に残るものと なった。 時は流れて今から20年前の2002年、私が写真家と共に湿板写真を始めた頃に、ネット上の写真フォーラムに見覚えのある名前の写真家から投稿があり、それが杉野信也さんだとわかるまで時間はかからなかった。 それを機に杉野さんと親交を重ねさせていただく中で、ご自身の生い立ちや若くして カナダに渡った経緯、その後の活動などをお聞きして自分なりに杉野さんの人となりのイメージをかたち作ることができた。そしてあの犬の視線の先にあった当時の杉野さんの心境も理解することができたと思う。 プリンターあるいはプリンティングディレクターの仕事は技術的な事もさることながら、いかにして依頼者の思いに沿って望むイメージを具現化できるか。そこがとても 大事なところである。 そういう意味でこの間の杉野さんとのやりとりは、望むイメージを具現化するために 必要な熟成の期間だったような気がする。 2017年杉野さんから今回展示しているベネチアのプリントの依頼があり、初めて共に 作品作りをご一緒させていただくことになった。当時私はアマナサルトというプラチナプリントに特化したプリント工房のプリンティングディレクターをしていた。 アマナサルトのプラチナプリントの制作手法は、ネガを使用せずにレザー光源で プラチナ印画紙に直接露光をするという世界で最初で唯一の画期的な方法だった。 私は常々制作するには今までにないものを目指したいという願望が強くあり、杉野さんの制作にもアマサルトの手法を使用しつつそこに何か新しいものを付け加えようと考えた。 杉野さんのプリントの特徴はなんといってもその黒の深みにある。 そこで考えついたのは、まず吸着性のあるアルミナを支持体の紙に塗布し、その後プラチナナ感光液を2度塗布する方法だった。我々がアルミナWコートと呼んでいる手法である。 結果、今までのプラチナプリントでは表すことのできなかった深みのある漆黒の黒の 表現が可能となり、杉野さんにご満足いただけるものとなった。 いま振り返ると杉野さんとの出会いから今日に至るまでの道程は必然だったように感じる。 そしてプリンティングディレクターとして制作に関わらせていただき、この上ない貴重な体験をさせていただいた。 今回、このような展示の機会を作って下さった杉野さんとモノクロームギャラリーレインの雨宮さんに心より感謝いたします。

    久保元幸

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